院外茶話
痛かった日曜日

目から火が出た 小学校に上がってすぐか、その前か覚えていない。庭を走っていて、飛び石につまずいた。一瞬、自分が転ぶということがわかって、今からぶつかる石が目の前に迫ってくる光景は、はっきり覚えている。 その後、我が家でど […]

続きを読む
院外茶話
戦場のセレナーデ

高齢の緑内障 Kさんがやってきた時は、すでに80歳になっていた。緑内障を患ってから何十年にもなるのだろう。すでに末期の状態で、日々の生活にも不便をしたに違いない。それでもしっかりした足取りで、診察室に入ってきた。ただし、 […]

続きを読む
院外茶話
海水浴三世代

千本松原 ようやく25メートルのプールを泳げるようになった頃、沼津に住む叔母を訪ねて、連れて行ってもらったのが千本松原の海水浴場。きれいな海だったけど、海岸はごつごつした丸石で、砂浜のような遊びはできない。それに焼けた丸 […]

続きを読む
院外茶話
私はウソを申しません

豆腐は豆腐屋で 小学校に入ったころは広尾に住んでいた。今でこそ高級住宅街だけど、当時は空地がいっぱい。防空壕で遊んでいた。冷蔵庫がなかったので、生鮮品の買い置きはできず、夕方の買い物はほぼ毎日のこと。母は買い物篭をもって […]

続きを読む
院外茶話
余生の終わり

長寿 義父は瀬戸内海の小さな島で生まれた。能美島という。お寺の九男坊で、実家の寺は長男が跡を継いだ。他の兄弟もたいがい仏門に入ったけど、義父は医師の道を選んだ。 当初、広島市民病院に勤務をしており、たまたま原爆が投下され […]

続きを読む
院外茶話
余生の始め

引退 義父が尾道を出立したのは、翌9日のことである。小さな鞄一つで我が家にやってきた。「いつまでおるかわからん。おいてもらえる間はおるで」来るとは聞いてはいたが、どうやって迎えればよいか、考えてもいなかった。とにかく以前 […]

続きを読む
院外茶話
温泉癒し旅1:陽だまりのバス停

沢渡温泉  毎日同じような暮らしをしていると、無性に旅がしたくなる。そんな時にはなるべく自然の豊かな温泉場を探す。ただし、いつ気が向くかわからないので、直前になって人気の宿を予約するのは難しい。そこで狙うのは、比較的小さ […]

続きを読む
院外茶話
老いの達人

出立 義父は皮膚科の医師である。長年尾道で開業医をしていたが、80を越えて今年はやめる、来年はやめると言いながら数年が経ち、5月8日、半世紀の間続けた医院を閉じた。最後の診察日には3人の患者が訪れた。 義父が尾道を出立し […]

続きを読む
院外茶話
最高の余暇

今日は明日のために 働きすぎと言われていた日本人のなかでも、最も忙しい日々を送るのは多分30代。30代の人たちを中心に、日本人が思い通りにもてないのが余暇。その少ない余暇を、人々はどう過ごしているのだろう。 天気がよい日 […]

続きを読む
院外茶話
緑内障5:高齢者の場合

高齢者の緑内障治療 若い人は早期発見と早期治療。年をとったら生涯通院を続けて検査と目薬。緑内障の話題は紙面やネットにあふれていますが、中でも公の学会や医師会の情報が比較的公平で、よく整理をされていると思います。ここでは、 […]

続きを読む
院外茶話
仮屋村の和尚さん

仮屋のお寺 源頼光が大江山に住む大蛇を退治に行く途中、若狭に仮の陣屋を設けて3年間滞在した。その地を仮屋村と言う。妊婦が出産のときに一時的に籠ったり、あるいは不浄とされた月経の数日間、籠ったところを仮屋村という。何が本当 […]

続きを読む
院外茶話
仮屋村のふみちゃん

熊川から 京は遠ても十八里。小浜でとれた新鮮な鯖は傷まないように、ひと手間かけてから若狭街道を通って京都に運んでいた。 途中必ず通るのが熊川の宿場町で、その熊川が最も発展したのは江戸の初期。魚に限らず米や豆や様々な物資を […]

続きを読む
院外茶話
仮屋村のてる婆さん

嫁に来て 我が家はもともと若狭の仮屋村にあった。小浜から10キロほど離れた山村で、てる婆さんは隣村の熊川から嫁にきた。馬に乗って。  婆さんはここで9人の子を設けて、その長男が私の父。しかし当時は満足に育たない子供が多く […]

続きを読む
院外茶話
緑内障4:白内障手術体験

手術の決意 緑内障シリーズですが、私が受けたのは白内障の手術なので、今回はその体験記です。 白内障は水晶体が濁る病気で、手術以外に治す方法はありません。では、どうなったら手術をするか。手術を行う時期は人それぞれで、細かい […]

続きを読む
院外茶話
老いの達人

出・尾道 義父は皮膚科の医師である。長年尾道で開業医をしていたが、80を越えて今年はやめる、来年はやめると言いながら数年が経ち、5月8日、半世紀の間続けた医院を閉じた。最後の診察日には3人の患者が訪れた。 義父が尾道を出 […]

続きを読む
院外茶話
蕎麦喰い

西のきつね・東のたぬき 関東で「たぬき蕎麦」と言えば、かけ蕎麦に揚げ玉が乗っている。でも、関西では代わりに油揚げがのっている。要するに関西の「たぬき蕎麦」と関東の「きつね蕎麦」は同じもので、油揚げが乗っているのである。ち […]

続きを読む
院外茶話
続・テオ君の物語

一宿一飯 朝夕の涼しさを感じる頃、いつものようにテオ君と近くの公園を一回りしてくると、かすかな茜色の空がきれい。同じ速さで歩くものだから、リードが引かれることもない。ぶらぶら歩いてふと、足元を見ると2人のはずが3人になっ […]

続きを読む
院外茶話
緑内障3:失明の不安

緑内障のイメージ 最近はテレビでも度々放映される緑内障。それは。  早期にはなかなかみつからない。40歳以上の人の5%が緑内障。放っておくと失明する。日本では最大の失明原因。早期発見、早期治療が大事。 だいたい […]

続きを読む
院外茶話
テオ君の物語

出会い 聞いてはいたけど、ある日、突然にゴールデンレトリバー・ラブラドールの小犬がやってきた。何はともあれ、名前を付けなければならない。以前に飼ったネコはこの作業を怠ったために、一生ネコと呼ばれ、亡くなったときには墓にネ […]

続きを読む
院外茶話
たぬき饅頭

限定品の怪 「 季節限定」、「先着十名様限り」 チラシに踊る誘惑の見出しに妻が買ってくるものは、中味がスカスカのカニや一度袖を通したら縫い目のほつれるセーターである。カニの足を切って見れば妻は怒り心頭に発するが、これが反 […]

続きを読む